東日本大震災から5年
全てが変わってしまったあの日から、丸5年が経過しました。
お亡くなりになった全ての方に冥福を捧げます。
現時点での状況は
震災直接死 15,894人
行方不明者 2,561人
震災関連死 3,407人
(うち原発関連 1,232人)
投じた資金 25兆円
自宅に戻れない人 20万人
(うち仮設住宅 9万人)
ということです。
今、多くの地域で
・住宅地は高台移転
・低地(元の住宅地)は自治体が買い取り、公園、倉庫、工場、商業地などに利用
・防潮堤を建設
の「復興3点セット」が進められています。しかし、
・住民の合意が取れない
・合意が取れても工事が始まらない
・待ちきれずにあきらめる住民が続出
といった具合で、うまくいっているとは言いがたい状態です。
「復興(=震災に負けない街作り)」は本当に必要なのでしょうか?
3.11においては、田老町や釜石市のように、巨大な防潮堤で守られた地域において、
住民の避難が遅れ、多大な被害が出ました。
「震災に負けない街作り」には「人間は自然に勝つことができる」という思い上がりを感じます。むしろ、「人間は自然に勝つことはできない」と諦観し、
・巨大防潮堤建設も高台の造成も行わなず、沿岸にも戻れるようにする
・沿岸に戻る人は「津波てんでんこ」で自分の命を守る
・津波が怖い人は内陸に移住する
・地元を離れてもかまわない人は、全国に800万戸以上ある空き家を活用する
など、「復興」ではなく「復旧」を行うべきではないかと思います。
一方、原発被害に関しては「復旧」を目指しているように思います。
除染を行い、以前と遜色ないレベルまで放射線量を下げてから住民を帰還させる方針のようですが、果たしてそこまでの「復旧」は本当に必要なのでしょうか?
年間の放射線量に関するデータ(ミリシーベルト/年)を値の大きい順に並べると
~500 各種実験調査で「心配なし」
175 ブラジルの一部地域の自然放射線
20~ 福島第一原発周辺の避難指示区域
~20 自主避難をしている人が多数存在
1 除染の目標
0.44 日本の大地からの自然放射線
ということです。
私には避難や除染の目標レベルが高すぎる(=数値が低すぎる)ように思えます。
自宅に帰れず、慣れない土地で生活するストレスの方が、放射線よりよっぽど危険だと思います。
「放射線は危険だ!」とおっしゃる方は
「放射線は浴びれば浴びるほど危険」と思っているのではないでしょうか。確かにそのとおりです。でもその逆、「放射線は浴びないほど安全(=LNT仮説)」は成り立つとは限りません。
地球の誕生当初は今より遙かに強力な放射線が降り注いでいました。
生物は放射線の届かない深海で誕生し、そのうち酸素を作り出す生物が現れました。
酸素はオゾン層となって放射線を遮るようになり、生物は地上へと進出できるようになりました。生物は放射線と戦ってきたのです。
生物の細胞には自己修復機能があり、弱い放射線による軽度なエラーは修復されます。
LNT仮説の元になったのは、ショウジョウバエの精子による実験です。自己修復機能がない、生物全体から見れば特殊な例です。
ミドリムシを鉛の箱に入れ、自然放射線を遮蔽すると、細胞分裂の速度が遅くなったという研究結果もあります。自然放射線の高めの地域の方が、発がん率が低いというデータもあります。少量の放射線は「有害の程度が少ない」どころか、有益である可能性もあるのです(=ホルミシス仮説)。
高血圧の原因として忌み嫌われる食塩も、欠乏すれば武田信玄のように困ることになります。
体にいいとされるビタミンも、多量に摂取すると障害が起こります。
どちらも「適量」を摂取することが必要です。
放射線にも「適量」が存在し、それは意外と多いのではないかと思います。
仏教の教えに「中道」があります。弦が緩ければ音は出ず、張りすぎると切れてしまいます。
同じ事が放射線にも言えるのではないでしょうか。
福島で甲状腺がんの発生率が上昇しているという話はありますが、他の地域と異なり、自覚症状のない人まで検査しているため、多く見つかっているだけという話もあります。少なくとも、それで人が亡くなっているわけではありません。一方、避難生活のストレスなどで、現実に1,000人以上の方が亡くなっています。
被害に遭った全ての方が、あたたかな住宅に住み、こころの安息を得て、
日常生活を取り戻すことを祈っています。 合掌