ご退職されるお二人の先生方に感謝
最近、ご退職されることになったお二人の技芸科目の先生方と(おひとりは華道の結崇光先生、もうおひとりは剣道の伊藤知治先生)それぞれに改めてお話しする機会がありました。
長年にわたりお世話になった先生方で、これまでの思い出話しに花が咲きましたが、そのなかで印象に残ったことをお分けさせていただきたいと思います。
華道の結崇光先生は学生が生けた花を見ながら、その日その学生の心の状態をつぶさに見通され、寄り添いながらご指導、言葉がけをしてくださいました。学生に良いご縁にならせていただきたいと、その祈りを毎回必ず大聖堂のご本仏さまに捧げてから授業に臨まれていました。あるとき、ある学生の生けた花の様子から、なにか心に秘めていることがあると感じ、「何かやりたいことがあるのではないですか」と声をかけたことをきっかけに、本当はやりたかったけれど自信がなくて踏み出せなかった介護の仕事にチャレンジすることが出来るようになりました。
剣道の伊藤先生は、剣道・居合道ともに八段。その道を究められた方でしたが、本校の学生を初心者であっても、ひとりひとりを本当によく見てご指導してくださいました。人にやさしく思いやりある人間になるために剣道を通して身体と心を強くしてほしいという願いをもたれ、必要と感じた時にはとても厳しく学生を叱ることもありました。それでも、その願いを心に感じ取っていた学生は、それをしっかりと受けとめよく稽古に取り組んでいました。1年生の時に内気だった剣道選択者の学生が、やがて明るく自分を表現するように成長したことを我が子のことのように喜んでおられました。
お二人に共通のご姿勢として印象に残ったこと。
一つは、その道の一流の先生でありながら、初心者の学生に、どうしたらいい指導ができるか、といつも考え工夫をつづけておられました。
もう一つは、そのために学生ひとりひとりの心の状態や背景を理解しようとつとめ週1回の授業でありながら、コミュニケーションを大切にされ、学生の心を実によくつかんでおられました。
さらに、学生からも常になにか学ぼうとされ、本校の学生との縁をとおしてご自身の心がさらに豊かになられ、それがご家族や周囲の方々との触れ合いにも生きていることを、お二人とも感謝されておられました。
心豊かな人生を送るために、何より大切なことを、学生はもとより私たち教職員にも身をもって示して下さったお二人の先生方に、深く感謝するとともに、そのご姿勢を見習ってこれからの教育に生かしていきたいと強く感じました。
伊藤先生、結先生、本当に長い間ありがとうございました。